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人間性を排除した作品に宿るモンドリアンの人間性

モンドリアンの作品

亀倉雄策 デザインと人間性
Pen : Pilot - CUSTOM HERITAGE 912 (WA)
Ink : Pilot – 紫式部

暖かくても、冷たくても、抽象は常に人間的な緊張感を求めているように思う。造形というものは、抽象の世界では、生命的な力であって、この力こそは人間性から生まれるように思われる。純粋抽象でも、デザイン抽象でも、厳しい姿勢を求めるのは同じである。そして、作品に緊張感がみなぎるのは、技巧ではなく、人間性の問題であることを忘れてはならない。抽象とは、人間そのものかも知れない。

亀倉雄策 :  デザイン随想 離陸着陸
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今年の夏休みは、奮発して家族でパリへ行ってきました。

私がこれまでパリへ行ったのは、2009年にロンドンから鉄道で日帰り出張しただけでした。遠くにエッフェル塔を見ながら、簡単にランチを済ませ、虚しくパリを後にしたことを覚えています。

今回はパリに5泊しましたけれど、見どころが多すぎて、時間が全然足りませんでした。世界トップレベルの、魅力に溢れた都市であることを痛感した次第です。

今回の旅行で、どうしても行きたかった名所のひとつ、ポンピドゥー・センター。
ポンピドゥー・センター 全景

レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースの設計です。ゴチャゴチャした外観が面白く、「近くで見たらどんなふうに見えるのだろう?」 と思っていました。

建物の下から上を眺めた写真がこちらです。なんだか、建設中の建物の骨組みみたいに見えますね。
ポンピドゥー・センター 下から

実際、パリの街でよく目にする、建物の外壁修復工事で使われる骨組みとよく似ているのです。
パリ 外壁修復

この建物を設計した両氏は、外壁修復工事の骨組みを元に、アイディアを練ったのではないかと思いました。

ポンピドゥー・センターの建築鑑賞を終えて、建物の内部にある、国立近代美術館へ行ってみました。名画がたくさんあるんですけれど、スケジュールがタイトだったため、わずか90分しか時間を使えませんでした (涙)

そんな中で目にした一枚がこちら。
モンドリアン New York City 1942

モンドリアンの 「New York City 1942」。モンドリアンが1944年に71歳で亡くなる、その2年前の作品です。

この絵の右下の部分をアップで撮ったカットをご覧ください。モンドリアンの筆使いが感じられます。
モンドリアン New York City 1942 下から

モンドリアンが美術の世界にその名を刻んだ作品群は、後半生記に描かれた抽象画です。その多くは、黒い線で縦横に区切られた中に赤、青、黄を埋めたもの。その一例を本稿の最上段に挙げました。

モンドリアンがこうした作品を生みだした背景に、彼が神智学に傾倒していたことが要因としてあげられるようです。神智学とは、神が創り上げたこの世の神秘を解き明かそうとする学問。モンドリアンからみれば、全知全能の神がこの世を創られているわけですから、この世は完璧な調和のもとに成り立っているのです。彼は自らの主観を排除して、完全調和の世界をキャンバス上に表現しようとしました。

モンドリアンの作品は、彼が気まぐれで線を引いて、色を塗ったわけではないんですね。何度も思考錯誤を重ねたうえで、赤の部分は赤でなければならない必然性があり、青の部分は青でなければならない必然性があるという確信のもとに描かれているのです。

その結果、絵に独特の緊張感、生命感が生まれました。

このデザインさえ知ってしまえば、絵のコピーをつくることは誰にでも可能でしょう。しかし、コピーに値段は付きません。モンドリアンの絵に価値があるのは、彼がこのデザインを生み出したことにあります。

このように、モンドリアンは、自らの感情や感覚といったものを放棄し、完全調和の世界を抽象画で再現しようと試みた人でした。しかし、上述の亀倉雄策さんの言葉を見て私が思ったのは、完璧な抽象の世界を作り上げたがゆえに、モンドリアンという人の人間臭さが作品に色濃く残ってしまっている、ということでした。

我々がモンドリアンの作品をみてカッコいいと感じるのは、モンドリアンの人間性に惹かれているからなのでしょう。モンドリアンの肉体はもうこの世にありませんが、作品を通じて彼は今も生き続けています。
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