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世界のベストレストランとコート・ドール

ベストレストラン50 2015

斉須政雄 十皿の料理

料理を作る人にはいろいろなタイプがあります。食べに来てくれる人も料理人にいろんな期待をしてくれます。しかし、人が一人一人違うように、料理人もそれぞれに違うんです。僕は技術を駆使するほうではないと自分では思っています。あれもこれもと、いろんなことでお客さんを楽しませるタイプではないんです。僕は自分の経験と体験を通じて、その季節、自分が旨いと思ったものをお客さんに出して、口ばった言い方をすれば、こんな旨さもあるんですよと言いたいんです。

斉須政雄 : 十皿の料理 (おこぜのポワレ)
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「世界のベスト・レストラン 50」 というランキングが毎年、発表されています。

2015年、日本のレストランでは、8位に「NARISAWA」、29位に「日本料理 龍吟」がランクインしています。

龍吟は料金も高いので、私はまだ訪れたことがありません。しかし、山本征治シェフに関しては、NHKのプロフェッショナルをはじめ、いくつかの番組で見たことがあります。前人未到の領域の料理を創造せんがために、命を削るような思いで取り組んでおられるその姿が画面に映し出されていました。

このベスト50に出ているレストランのうち、いくつかは私も訪問したことがあります。

いずれも共通しているのは、「えっ?」と驚くような強烈なインパクトの料理が多いことです。素材、盛り付け、色、コンセプト、料理法等、様々な要素を組み合わせ、シェフが叡智の限りを尽くした創造力あふれる料理を楽しませてもらいました。

ベスト50の審査は、厳選された料理評論家が行なっていますので、「こんなランキングは出鱈目だ」というわけではなさそうです。しかし、例えばミシュランの三ツ星レストランで、このランキングから漏れている店は数多くあります。ということは、このベスト50の意味するところは、「創造性」という点にかなり重点がおかれた評価構成になっているようです。

さて一方、上述の言葉は東京のフランス料理レストラン、コート・ドールのオーナーシェフ、斉須政雄さんの書かれた「十皿の料理」という本からの引用です。

おこぜのポワレ

コート・ドールの料理は、斉須シェフの言葉どおり、飾り気はないけれど、料理にかけるシェフの思いをそれぞれの品に感じ取ることができ、私は好きです。

斉須シェフは同書の中で次のようにも述べておられます。

「僕は、僕の発見した旨さをおいしいって、食べてもらいたいんです。ひょっとして、これ、我が儘なんでしょうか。僕はフランスのいろんな厨房で過ごした時間と体験を、こういう形で表したいと考えているのです」

斉須シェフの料理はもっと評価されて良いのではないか、世界のベスト・レストラン50よりもずっと美味しいのではないか、と私は思うのですが、ランクインされることはありません。コート・ドールの一皿には「驚き」が満ちていますけれども、その「驚き」はベスト・レストラン50に入るレストランの「驚き」とは別種のものだからです。

ベスト・レストラン50のレストランの驚きは 「わかりやすい驚き」。

コート・ドールの驚きは 「よーく観察するとわかる驚き」。

龍吟の山本シェフも、コート・ドールの斉須シェフも、料理というフィールドにおいて、新たな世界を切り開くべく全力を尽くされていることに変わりはありません。しかし、その目指す地点は違うわけですよね。

コート・ドールは、ベスト・レストラン50に入ることはないし、ミシュランで三ツ星をとることもないでしょう(現在は一ツ星)。ビジネスマンの世界に例えるなら、重役に昇進することはないわけです。

しかし、斉須シェフは、料理の世界において自分の力を最大限に発揮し、お客さんにどうしたら喜んでもらえるかを考えた場合、今のスタイルが最善だと判断されたのだと思います。

コート・ドールはどのようにして独自の文化を築き上げることができたのでしょうか。

斉須シェフの本を読んでみて感じるのは、シェフの自己分析能力の高さです。

- 自分はこれまでの人生から何を語れるのか
- 自分は他の料理人と比べてどのような強みがあるのか
- 自分は料理を通じて何を表現したいのか

競争の厳しいレストラン業界で生き延びるため、斉須シェフはこのような自問自答を繰り返したのでしょう。

自問自答を通じての自己分析は、全ての職業人にとって重要なことだと私は考えます。

ビジネスマンの場合、採用面接のときには「自己分析」を徹底的に突き詰めますが、入社後はすっかり忘れてしまう方がほとんどではないでしょうか。

自動的に給料が振り込まれてくるビジネスマンと、経営リスクを抱えるオーナーシェフでは、「生き延びる」ということに対する真剣さが桁違いですから、ビジネスマンが自己分析を怠るようになるのも仕方がないとはいえます。

しかし、ビジネスマンといえど、実際はサバイバルの日々なのです。自己分析ができていないビジネスマンは、自己分析がきちんとされていないレストラン同様、他者との差別化ができません。そうすると、たとえがむしゃらにがんばったところで、「その他大勢」に組み込まれ、やがては淘汰されてしまうことになります。

要するに、自己分析がきちんとできていない職業人は、プロフェッショナルとは言えないということです。

自己分析がきちんとできていれば、ミシュランの三ツ星を目指すオーナーシェフ同様、「重役を目指す」というコースを進むべきなのか、あるいは「重役ではないけれど、貴重な戦力として皆から頼りにされる存在を目指す」という斉須シェフのようなコースを進むべきなのか、方向を定めることができます。

方向を定めることができれば、自分の強みを活かし、ビジネスの現場で自分が表現したいと思ったことを実現でき、人々の役に立てる確率は高まります。

そうしたことから、あらゆる職業人にとって、充実した仕事人生がおくれるかどうかの鍵は、自己分析が大きな握っていると言えると私は考えています。
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