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紙幣を焼くと執念の臭いがするという話

紙幣が燃える

紙幣を焼く臭い

ペリカン - M400 トータスシェル/ホワイト 細字 : ペン
ペリカン - ブラウン : インク

日本銀行に勤務していた三十年以上前のことです。市中銀行から戻ってきた古い紙幣のうち再利用できないものを、当時は敷地内の焼却炉で焼いていました。鼻を突くそのにおいを、初めてかいだときはびっくりしました。人の手を渡るうちに、紙幣には情念や喜怒哀楽が染み込む。煙のにおいは、人間の執念のにおいに思えましたね。

斎藤精一郎  千葉商科大学名誉教授 - 日経新聞の記事より
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紙幣を焼いてみたらどんなニオイがするのでしょう? そんなことをすると罰があたりそうですから、なかなか実行に移せる人はいないでしょう。私もできません。

紙幣はインクで印刷された紙にすぎません。その紙を触わった人はたくさんいるでしょうから、古い紙幣には人々の指の脂が付いているはずです。したがって、お札を焼くと、紙とインクと脂のニオイがするのは理解できます。

しかし、斎藤教授は、そうした科学の次元で想定されるニオイを超越したものが、焼いた紙幣にはあると言います。それを “人間の執念” と表現されました。

“人間の執念” にニオイがあるというのは、もちろん現代の科学では証明できないことです。それでも、直感的に、私は斎藤教授の述べられたとおり、人間の執念にはニオイがあり、物質に浸透するのではないかと思うのです。

身近な例でそれを感じるのは、例えば築年数の古くなったマンションの前を通ったりするときです。マンションは “モノ” ですけれど、住民の皆さんが愛をこめ大切にされているマンションには、芳香が漂うように感じます。一方で、住民が“ 物” としか見ていないようなマンションは、管理会社が掃除をしていても独特の臭気を感じます。

“人間の思い” と “モノ” の関係について、さらに考えを進めてみると、“人間の思い”は “ニオイ” に限らず、多様な要素が “モノ” に浸透して、それが “モノ” に備わる “気”、もしくは “オーラ” を作り出しているのではないかと私は思うのです。

私が今まで観た絵で一番強いオーラを感じたのは、ロンドン・ナショナルギャラリーにあるダ・ヴィンチの 「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」 でした。
聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ

実際にロンドンでご覧いただいたらわかりますが、近寄りがたい神々しさがあります。この絵の持つオーラは、ダ・ヴィンチの書いた絵そのもののパワーもさることながら、それ以上に、数知れぬ人々が感動した、そのエネルギーがこの絵に乗り移ったことにより作られたと私は考えます。

ダ・ヴィンチの作品は極端な例ですけれど、要は人が何らかの思いを持って “モノ” に接すれば、思いが “モノ” に投影されるわけですから、それは物質的な “物” ではなくて、ある種の人格を備えた “モノ” になると思うのです。

作家、開高 健は 「生物としての静物」 という名著を残しています。
生物としての静物

これは文豪が愛した身の回りの数々の品、パイプ、ライター、万年筆、帽子等の 「静物」 が、自分にとっては 「生物」 となっている、というエッセイです。私は高校生の頃、この文章を読んで面白いと思いましたが、「モノにも人格が宿る」 という文章を頭で理解はできても、身体感覚ではわかっていませんでした。歳を重ねた今は理解できます。

紙幣に限らず、人間の思いを載せたモノには人格が宿り、ニオイもあります。愛を込めて接してあげれば輝くし、粗雑に接すれば朽ちてゆくのも早い。そんなわけで近ごろは 「“生物” も “静物” も、全てに愛をこめて接しよう」 と思うようになりました。

こんな私ですので、妻の財布をのぞいてみて、紙幣が皺くちゃになっているのを発見すると、怒ってしまいます。「御札にだって人格はあるんだ。人々の執念が込められて大変な思いをしているんだから、せめて自分の懐におられる間は大切に扱ってあげないと」 と話しても、当然、理解されません。妻も 「変な人と結婚しちゃったなあ」 と思うのでしょうが、御札に愛想つかされたら我が家の家計も困ります。ここは私も譲れないところ。大切に扱って欲しいものです。
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