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開高 健は ”しょっぱい” という言葉を選んだ

開高 健  しょっぱい
パイロット : カスタム743
パイロット : 紫式部

開高 健 : 知的な痴的な教養講座
第一章 : 小さな死

人間の血液がしょっぱい。汗はもちろん、精液もちょっとしょっぱい。小便もしょっぱい。女の愛液もはんなりとしょっぱいんだ。これは、人間が海から上がってきた証拠じゃないのかな。人間の中には海があるんだ。海が生きているんだ。人間われら、みな海の子なのである。

====================
文豪、開高 健。1989年、59歳の若さで亡くなります。

開高さんの文章は、何か深いものがありますね。「言葉を越えた言葉」 のような。。。

「知的な痴的な教養講座」 という本を読み返していたとき、上述の箇所で私は「あれっ」と驚きました。

開高さんは大阪出身です。関西の方は、塩分の濃い食べものに対して、”からい” もしくは ”塩からい” と言いますよね。私は関東なので、”しょっぱい” という言葉の方に馴染みが深いです。

大阪出身の開高さんですから、”しょっぱい” という関東の言葉が自然に出てくることはないはずです。

ましてや、一語一語、綿密に思考をめぐらせて、厳密に言葉を選び抜いた開高さんですから、”しょっぱい” と記された背景に、何か明確な理由があったはずです。

例えば上述の文には ”はんなり” という京言葉が使われていますが、これは ”はんなり” がピッタリであり、それ以外の言葉では代用がきかないですね。同様に開高さんは、「ここは ”しょつぱい” 以外に無い」 と考えられたのでしょう。

では、仮に上述の文章の ”しょっぱい” を ”塩からい” にしたらどうなるのでしょうか?

====================
人間の血液が塩からい。汗はもちろん、精液もちょっと塩からい。小便も塩からい。女の愛液もはんなりと塩からいんだ。
====================

なんだか”塩”という字が目だってしまい、文の美しさが減じてしまうように思えます。

では ”塩からい” ではなくて ”からい” だったらどうなのか? ”からい” の場合、関東の読者には ”辛い” と混同する人もいるでしょう。

そのような理由から、関西人の開高さんは、あえて ”しょっぱい” を選んだのかもしれません。

しかしなにより、

”はんなりと塩からい”
”はんなりとからい”
”はんなりとしょっぱい”

この三つを比べてみると、”はんなり” という柔らかな単語には、”しょっぱい” というこれまた柔らかな表現の方が合うように思います。開高さんが ”しょっぱい” を選んだ最大の理由はそこにあったのかもしれません。
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