スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

フランス人は10着しか服を持たないのか?

フランス人は10着しか服を持たないのか
Pen : Pilot - Custom Heritage 912 (WA nib)
Ink : Herbin - Vert Reseda

シックなデザイン、シックなおしゃれ。「上品で洗練された」 という意味を持つフランス語のシックという言葉は、日本ではそんなふうに使われている。けれども本書を読んでいると、シックという言葉の持つ深い意味がわかってくる・・・・シックというのは人や物の外見だけでなく、ライフスタイルや生き方、暮らし方、心の持ち方までも表す言葉なのだ。
アメリカ人の著者ジェニファー・L・スコットが、南カリフォルニア大学在学中にフランスへ留学し、パリの暮らしで学んだ価値観を一言で表す言葉が「シック」だ。マダム・シックをはじめ、パリのシックな女性たちは自分をよく知っていて、装いにも食事にもインテリアにもこだわりを持っている。大事なことにはお金をかけるが、ムダを嫌い、見栄を張らない。本当に気に入ったものだけを長く使う。シンプルな暮らし。それは次々と新しい物を求めて大量に消費する、アメリカのライフスタイルとは正反対だった。ジェニファーはみずみずしい感性と優れた知性で新しい価値観を吸収し、殻を破って、女性として花開く。

フランス人は服を10着しか持たない -訳者あとがき :神崎 朗子
====================

昨年、フランスへ旅行してみて、すっかりその魅力の虜になってしまった私は、「フランス人は10着しか服を持たない」 という本を買ってしまいました。

フランス人は10着しか服を持たない

読んでみてわかりましたが、服について記載されているのは本書の一部にすぎません。この本は、パリの上流家庭にホームステイしたアメリカ人の著者が実際に見聞きした、フランス人のライフスタイル全般について語ったものです。

このため、「フランス人は10着しか服を持たない」 という書名には違和感があるのです。原題は 「シック夫人からのレッスン(Lessons from Madame Chic)」 となっています。

Lessons from Madame Chic

ただ、日本で本を販売する出版社の立場で考えた場合、「シック夫人からのレッスン」 では、読者に見向きもされないでしょう。おそらく、訳者と出版社は、どういう題名にしたらよいか懸命に考え抜いたうえで、「フランス人は10着しか服を持たない」 という書名に辿り着いたはず。ベストセラーにすることができたのは、マーケティングの勝利と言えるでしょうね。

さて、原題にある 「シック夫人(Madame Chic)」 というのは仮名にすぎません。

上述のとおり、アメリカ人の著者が、フランス人のライフスタイルを 「シック」 であると感じ、それをホームステイ先の婦人の名前に当てはめたのです。原題の 「Lessons from Madame Chic」 には、著者のそうした想いが込められているのでした。

前置きはさておきまして、今回、お伝えしたいのは、「シック」 と 「エレガント」 の違いです。

この二つの言葉は似ています。何が違うのでしょうか?

実は先日、フランス人と話す機会があり、この違いについて聞いてみたのです。

すると、この二つの言葉は似ているけれども、シックはよりモダンでカッコいいイメージ、またファッションに対して使うイメージとのこと。

例えば、流行のファッションに身を包んだ女性に対して、男性は 「エレガントですねぇ!」 と言うよりも、「シックですねぇ!」 と言った方がピッタリくるわけです。

それに対して、エレガントは、ファッションのみならず、生活スタイルや人格など、より広い意味で使われるそうです。別な言葉に置き換えるならば、「良いセンス」 ということになるでしょう。

さて、ここでもう一度、上述の訳者のあとがきを振り返ってみましょう。

「シックというのは人や物の外見だけでなく、ライフスタイルや生き方、暮らし方、心の持ち方までも表す言葉なのだ」 とあります。

ここでいう 「シック」 は、本当のところ、「エレガント」 に置き換えるべきなんですよね。つまり、本書のエッセンスを述べるとすれば、「フランス人のライフスタイルは (シックというよりはむしろ) エレガントである」 ということになります。

となると、原題は 「Lessons from Madame Elegant」 とするのが本来あるべき姿でしょう。

しかし、アメリカ人の目からみて、「Madame Elegant (エレガント夫人)」 という書名はどう響くのでしょう? 私はアメリカ人ではないので正確なところはわかりかねますが、おそらくピンと響かないと思います。「エレガント」 はよく使われる言葉であるため、あきらかにウソの名前だとわかりますから。

一方、「シック」 という言葉は、アメリカでは 「エレガント」 ほど使われないはずです。そうすると、「シック夫人」 ならば、アメリカ人が書名を目にしたとき、「そんな名前の人がいるかもしれない」 という気に一瞬なるのではないでしょうか。

ジェニファー スコット
著者のジェニファー・L・スコット (上写真) は、シックよりもエレガントという言葉の方が、フランス人のライフスタイルを表す適切な言葉であることを知りながらも、マーケティングのために、あえて 「シック夫人」 の書名を付けたのではないかと私は考えます。そして、見事、ベストセラーに輝きました。

アメリカで出版された原書の書名も、日本版の書名も、いずれもあえて本質から少し外すことにより大成功をおさめることができたといえます。

このように、よい作品があれば、必ず売れる、成功する、とはかぎりません。人に伝えることができて、初めて評価を得ることができるのです

同様にビジネスの世界においても、どんなに良い仕事をしたところで、それが人に伝わなければ、自己満足で終わってしまいます。自分の仕事においても、「人に伝える」 ということをもっと意識していかねばならないな、と思いました。
スポンサーサイト
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
256位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
哲学・思想
26位
アクセスランキングを見る>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。