
Pen : Pelikan - M800 (B)
Ink : Pilot - Kirisame
ぼくらは位置について
横一列でスタートをきった
つまずいている
あいつのことを見て
本当はシメシメと思っていた
作詞 スガ シカオ : Progress

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NHK放映、「プロフェッショナル」 の主題歌であるProgressを聞いていたとき、ふと、若い頃の自分と、現在の自分との違いに気がつきました。
そう、若い頃、たしかにスガ シカオさんの歌詞どおり、つまずいている友人を見て優越感を感じていたのです。
それは裏返せば、自分より先を進んでいる友人を見て劣等感を感じていた、ということでもあります。
思考は脳の中を無意識に流れてゆきますから、自分がどんな人間なのか、ということは気付きにくいですよね。特にネガティブな部分は埋もれがち。詩人が言葉にしてくれて、初めてそれを知るということがあります。スガ シカオさんの詩にはそんな力があります。
「プロフェッショナル」 のスガ シカオ特集で、秋元 康さんは、スガ シカオさんのことを次のように評されていました。
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スガ シカオというのは、やっぱりすばらしい詩人だなと。
訳知り顔で全てを伝えてるんではなくて、スガ シカオがぽつんぽつんと語った言葉の隙間に彼の思いがあって、彼の温度があって、それを聞く人たちが、あとは自分が考えるっていう、、、
聞いた人が自分の考えと照らし合わせて完成するんですよね。
だからこそ響くんだと思うんですよね。
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さて、現在の自分はどうかと言いますと、自分より先に進んでいる友人を見て、嫉妬や劣等感を感じることは、まだあります。彼らを心から祝福できるほど、人間ができていません。そんな自分を、「まだまだ精神修行が足りないなあ」 と情けなく思うときもあります。
しかし、つまずいている友人をみて優越感を感じることは無くなりました。
自分の同世代の友人たちの顔をあらためて思い浮かべてみると、大きな壁にぶち当たる人がこんなにも多いのかと驚いてしまいます。
- 亡くなった人
- 病を患っている人
- 勤めていた会社が倒産して職を失った人
- 会社で問題を起こして解雇されてしまった人
- 離婚して落ち込んでいる人
- 妻や子供が健康の問題を抱えている人
- 親の介護で大変な人
- 子供がイジメにあって悩んでいる人

こうした困難の末、連絡も取れなくなってしまった友人が何人もいます。
今の自分は、「つまずいている、あいつのことを見て」 となったら、とにかく力になりたい、という思いしかありません。
世界には、中東のように戦乱が続いたり、深刻な貧困問題を抱えたりする国々が数多くあるわけですから、日本に生まれ、日本に住んでいられるというのは、とても幸運なこと。
しかし、そんな幸運な条件に恵まれている日本人の中であっても、さしたる障害にもぶち当たらず、50年近い人生を歩むということは、容易なことではないと感じます。
私の場合、妻も娘も私も健康上の問題はなく、また私の両親も妻の両親も健康で、勤めている会社も順調で、おかげさまでクビになるようなこともなく、平凡に過ごせているというのは、本当にありがたいことだな、と思うのです。
会社で上司に怒られようが、部下から不満をブチまげられようが、出世で遅れようが、妻や娘から文句を言われようが、そんな些細なことでストレスを感じていること自体が、冷静に考えれば、とても恵まれていることなんですよね。
そして、「恵まれていることに気づくジブン」 が、カッコいいんだと思うようになりました。
Progressの後半には次の詩があります。
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ずっと探していた
理想のジブンって
もうちょとカッコよかったけれど
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スガ シカオさんがこの詩を書いたのは2005年。彼が40歳になる前のことでした。
30代でありながら、こんな言葉を残すことができたスガ シカオって人は、すごいなあ、と素直に思います。
私も、若い頃に考えていた「理想のジブン」 とは全然違うジブンになりました。

今、まわりの人からみてカッコ良くはないかもしれないけれど、自らが信じるカッコ良さを追求したいと思うジブンがいます。
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