M800 バーント・オレンジをポチッてしまいました

ペリカン バーントオレンジ 2


昨年8月、ペリカンの万年筆、M800 ブルー・オ・ブルー (下記写真) を悩んだ末に購入した顛末をお伝えしました。

M800 ブルー オ ブルー

「限定ものには惑わされない」、というポリシーの私ですが、万年筆に限っては、なかなか自分をコントロールできないのが悲しいところ。。。

そんな中、またまたペリカンが特別生産品で私を悩ませてくれました。

その名も 「スーベレーンM800、バーント・オレンジ」。“Burnt” なので、少し焦げた感じのオレンジです。

以前、「オレンジの誘惑」 という稿でお伝えしましたが、私、オレンジが大のお気に入りなんです。

「ペリカンのペンはすばらしいけれど、値段も高いので、もう手は出すまい」 と決意していたのですが、ペリカンのサイトの写真と文章をみて、私の決意は大地震でグラグラに揺らぐ高層ビルの状態になってしまいました。

ペリカン バーントオレンジ 1

(ペリカンのサイトからの引用) = 温かみのあるオレンジの色の胴軸は、ダークブラウンのキャップと尻軸によって完璧な色合いに仕上げられています。800バーントオレンジのボディは高級樹脂で作られ、その後磨きこまれています。 =

日本に来るのは限定1500本とのことで、悩みに悩んだ挙句、「ここで買っておかないと、一生後悔するかも。自分へのクリスマスプレゼントということもあるし」 と勝手に理由付けして (?)、ポチることを決断。

字幅は何にするか、これまた悩みましたが、M800では、すでにF(細字)は緑縞で、M(中字)はブルー・オ・ブルーで、BB(極太)は青縞で持っているため、B(太字)を決断。

それにしてもM800を4本も持ってしまうなんて、我ながら呆れます。

ちなみに、昨年購入したブルー・オ・ブルーは、まだ包装も開けていない状態で保存しています。

自分でも自分の心理がよくわからないのですが、「限定品を新品未開封の状態で持っている」 というのが、なんか嬉しいんですよね。これって、年代モノのワインをキープする人たちと同じ心境なのかもしれません。

今回のバーント・オレンジも、新品未開封のまま寝かすつもりです。熟成が進んで日の目を見るのは何年後でしょうか。。。

頭の良い男とは

頭の良い男とは
Pen : Pilot Justus (M)
Ink : Sailor Miruai

日本では、教育はあっても教養のない男 (これは女でも同じだが) は、まったくはいて捨てるほど多い。
つまり、ここで言いたい 「頭の良い男」 とは、なにごとも自らの頭で考え、それにもとづいて判断をくだし、ために偏見にとらわれず、なにかの主義主張にこり固まった人々に比べて柔軟性に富み、それでいて鋭く深い洞察力を持つ男、ということになる。
なんのことはない、よく言われる自分自身の 「哲学」 を持っている人ということだが、哲学と言ったってなにもむずかしい学問を指すわけではなく、ものごとに対処する 「姿勢 (スタイル)」 を持っているかいないかの問題なのだ。だから、年齢にも関係なく、社会的地位や教育の高低にも関係なく、持つ人と持たない人のちがいしか存在しない。

塩野七生 : 男たちへ
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前稿に続き、塩野七生さんの 「男たちへ」 に出ていた言葉です。
男たちへ

この 「男たちへ」 は、資生堂のPR誌、「花椿」 に連載されてたものです。

読者層がほとんど女性である 「花椿」 に、「男たちへ」 という連載。よく考えると妙な組み合わせです。

このギャップに込められた、資生堂、そして塩野さんの狙いは何だったのでしょうか。

おそらく、「塩野さんから男性に対するメッセージ」 という形を借りて、日本の女性たちに気付きを与えることを狙ったのではないか。私はそう思います。

女性作家に「日本の女性の皆さん、もっと目覚めなさい!」 なんていうスタンスの文章を見せられたら、女性は 「なによ、この人、偉そうに!」 と、カチンと来るでしょう。けれども、男たちに対するメッセージの形をとるならば、「そう、わたしもそう思ってたのよ!」 と共感してくれます。これはうまい作戦だったと思います。

一方、男性は、同性の作家に 「だから日本の男たちはダメなんだよ」 と言われても、「この野郎、、ふざけんな!」 とはあまり思いません。例えば、村上 龍さんの 「すべての男は消耗品である」 は、私の好きな本ですけれど、こうした男性の心理をうまく突いていると思います。

そう考えると、男性よりも女性の方が、全般的にプライドは高いのかもしれませんね。

話はそれましたが、「頭の良い人」 の話に戻ります。

「頭の良い人」 とは具体的にどんな人を指すのでしょう?

塩野さんは 「頭の良い人」 を 「ものごとに対処する姿勢(スタイル)を持っている人」 としています。

ここで言う 「姿勢 (スタイル)」 とは何でしょうか。私は 「美的センス」 と解釈しました。

つまり、「ものごとへの対処が美しい人」 ということになります。これを短く言うなら、「品格のある人」 ということになるでしょう。そうしたことから、「頭の良い人」 とは「品格のある人」、というのが私の結論です。

「偏見にとらわれず、柔軟性に富み、それでいて鋭く深い洞察力を持つ人」 とも塩野さんは述べておられますが、これも一言で言うなら 「品格のある人」 となります。品格のある人に、人はついてゆきます。

仕事をすすめるうえで、多くの人々の意見をまとめ上げるのは大変難しいこと。そのためのリーダーシップにも様々なタイプがありますけれど、社会の成熟度が進めば進むほど、「品格によるリーダーシップ」 が重要になってくると私は感じています。

ところで、塩野さんは 「(スタイル)を持つ人と持たない人のちがいしか存在しない」 とも述べています。

自分のまわりを振り返ってみると、「持たない人」 の方が多いですね。「類は友を呼ぶ」 と言いますから、私自身も 「持たない人」 なのでしょうか。。。 まずいなあ。

資生堂は日本の誇りです

資生堂

Pen : Pilot Custom Heritage 912 (WA)
Ink : Sheaffer Turquoise

日本に帰国中に、ある男性向きの雑誌のインタビューで、どういう男が好きか、とたずねられた。私の答えは、タキシードの似合う男、というものだった。そして、その理由として、こうつけ加えたのである。
「ジーパンの似合う男が必ずしもタキシードも似合うとはかぎらないが、タキシードの似合う男は、絶対にジーパンも似合うからです」

塩野七生 : 男たちへ
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私は資生堂の大ファンです。

といっても、残念ながら男性用化粧品を使うほどオシャレの感度が高くないので、資生堂製品の愛用者ではありませんが、資生堂のコマーシャル、資生堂の経営者のコメント、資生堂製品のパッケージ、こうしたものを通じて資生堂ってカッコいいなあと思うのです。

銀座の資生堂パーラーは私のお気に入りのレストランです。
資生堂パーラー

私はこのお店に、資生堂の美学が集約されているように感じます。接客、内装、料理、全てにおいて非のうちどころがありません。料理のお値段は洋食レストランと考えるとかなり高めですが、資生堂文化を学べるショー、もしくは研修として考えれば、ずいぶんお安いものだと思います。

さて、冒頭の塩野七生さんの 「男たちへ」 という文春文庫の本、この本は54章のエッセーから成っています。巻末に 「花椿 1983年6月号 ~1988年1月号」 という記載がありました。

「花椿」 という雑誌は、書店で見た記憶がありません。「もう廃刊になった雑誌かな?」 と思って調べてみたら違いました。

花椿は1937年創刊、資生堂のPR誌だったのです。
花椿 資生堂

長年にわたり塩野七生さんの記事を連載したPR誌を持っているなんて、さすが資生堂だと感服致しました。

私が今、大学教授であるならば、「資生堂文化はいかにして生まれたか」 をテーマに徹底的に研究してみたいです。どうやってこんなすごい企業が生まれのでしょうね。日本の誇りです。

そんな資生堂の花椿に連載を持っていた塩野七生さんは、「タキシードの似合う男が好き」 だそうです。
タキシード ジェームスボンド

私は以前、海外で開かれたパーティで、タキシードをキメて着て参加したら(貸衣装屋で借りました)、イギリスの人に 「カッコいいね!」 と褒められました。たとえお世辞だとわかっていても、タキシードの本場であるイギリス人に言われたのが嬉しくて、今でも良い思い出となっています。

今のところ私は、ジョルジオ・アルマーニ氏を目指して 「ネイビーのTシャツと洗いざらしのジーンズが似合う爺さんになる」 が目標ですけれど、「タキシードの似合うオジサンになる」 への変更も面白そうだな、と塩野さんの言葉を見て思いました。

サンドイッチマンの完璧主義

サンドイッチマンにアートを見た
ペン : LAMY 2000 中字
インク : エルバン (パープルとライトグリーンのブレンド)


(“2007年 M-1 グランプリ” 「街頭アンケート」 より)
富澤 「ここからは2択になります」
伊達 「早くしてくんねえかな。焼きたてのメロンパンが売り切れんだろ!」

******************
伊達 「ここのメロンパンが大事なんだ。何のパンがいいか。おれら、二ヶ月くらい悩んだ。どうでもいいところなのかもしれないけれど、こういうフレーズを非常にぼくら大事にするんですよね」
富沢 「メロンパンにこれくらい時間をかけているのは、ぼくらかパン屋さんくらいですよ」

サンドイッチマン : NHK 爆笑ファクトリーハウス 笑けずり ( 16年9月18日放送)
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「笑う」という行為は、人間が進化の過程で最後に身につけた感情表現でありましょう。ということは、あらゆる感情表現の中で 「笑い」 は最も知的なものと言えそうです。

そのせいでしょうか、笑いのツボは、文化により、さらに人により、大きく異なります。

私がそのことを痛感したのは、関西出身の上司と話していたときでした。その上司は 「オレは、“Mr.ビーン”を見ても、何が面白のか、さっぱりわからん。たぶん、関西の人間は、オレと同じだと思う」 と述べたのです。関東出身の私は、Mr.ビーンをみて腹を抱えて笑う方だったのでショックを受けました。

Mr.ビーンが好きな私にとって、現在、お気に入りのお笑い芸人ベスト3は、アンジャッシュ、ラーメンズ、サンドイッチマンとなります。

皆さんご存知のとおり、彼らの発表する作品は極めて完成度が高いですよね。このレベルになれば、もはやお笑いは芸術です。

さて、先日、「爆笑ファクトリーハウス」という番組で、サンドイッチマンが若手芸人に、講義をするシーンを目にしました。

そこで「さすがだなあ!」と感動したのが上述のコメントです。

サンドイッチマンがブレークするきっかけとなった2007年のM-1グランプリで発表された 「街頭アンケート」 という作品。「焼きたてのXXパンが売り切れるんだろ」 というセリフは決まっていたそうですが、「XX」 に何を入れるかで二ヶ月間悩んだというのです。

例えば、「ジャムパン」や「フランスパン」では面白くないですね。

伊達さんの風貌を考えると、「カレーパン」 あたりがピッタリです。
サンドイッチマンのニラミ

カレーパン

私の勝手な予想ですけれど、M-1本番前の練習では、「カレーパン」 としていたのではないでしょうか。しかし、カレーパンでは伊達さんとの相性が良すぎて予定調和になってしまいます。笑いにつながりません。

伊達さんの風貌とのミスマッチを突くという点からすると、「クリームパン」 なんて良いかもしれません。けれども、クリームパンはどこか平凡、ヒネリがありません。

メロンパンならば、「行列しないと買えないメロンパン」 なんて店もよくテレビで放映されますから、「焼きたてのメロンパンが売り切れるんだろ!」 というセリフで文脈が通じますし、強面の伊達さんとメロンパンのギャップが面白いです。
メロンパン


そうやって悩んだ末にセリフを決めて、実際、このセリフを聞いた客は笑うかというと、こんなところでは笑いません。「XXパン」 に何を入れるかで悩んだところで、たいした意味は無いと思われがちです。おそらく、普通の芸人さんなら、こんな箇所で悩まないでしょう。

しかし、こうした数多くの「どうでもいい部分」の積み重ねが伏線となり、客が知らず知らずの間にサンドイッチマンのペースに引き込まれてゆき、結果として、狙ったポイントで大きな笑いを生み出すのです。一語としておろそかにしないサンドイッチマンの完璧主義が、作品の影に隠れていました。

私は観客として、彼らのコントや漫才を 「いつも完成度が高いなあ」 というフィーリングで見ているだけでしたが、今後はアート作品鑑賞のように、何気ないセリフに秘められた背景を楽しんでゆきたいです。

どんな仕事であれ「神は細部に宿る」。

サンドイッチマンの言葉を通じ、あららためてそのことを学びました。

ビビれるってことは幸せだと矢沢永吉は語った

矢沢永吉 songs

ステッドラー - レシーナ 中字 : ペン
エルバン - レッドとオレンジのブレンド : インク

俺ねえ、毎回、ツアーが始まる初日なんて、ドキドキしている。でも、この怖いとか、嫌だよとか、ドキドキだとか、そういうものをまだ現役で持てているというのは、僕は目茶ラッキーだと思う。これ無くなったらおしまいだよ! 一番何が寂しいって、何して良いかわらないっていうことが、一番寂しいじゃない? 僕らは 「くそっー」 とか文句言いながら(やる事が)あるんだもん。

矢沢永吉 : 
2015年9月25日放送 -NHK - SONGSスペシャル (山田孝之との対談より)
====================

正直に告白しますけれども、仕事において、私はしょっちゅうビビっています。

「この場から逃げ出したいなあ。。。」 と思う場面を振りかえってみると、こんなかんじでしょうか。

- 上司から怒鳴られて呼び出されたとき
- 大勢の人の前で、プレゼンテーションをせねばならないとき
- 大きな商談で、自分が責任者として出席せねばならないとき (それも英語なら最悪)
取締役会

そういうときは、わまりからはそうは見えないかもしれませんが、手には汗、心臓はバクバクです。

それでも経験を重ねて、自分の心の状態を多少はコントロールできるようになりました。私がするのは次のようなことです。

・ 無意識に顔つきが深刻になっているので、口角を上げ、意識して笑顔を作ってみる
・ 「ここで大失敗したって、自分の人生が終わるわけじゃない」と小声でつぶやく (頭で思うのではなく、目立たなくても口を動かすことが重要)
・ 「こういうピンチで俺は強いタイプだ」と小声でつぶやく
・  腹式呼吸で、細く長く息を吐く

昔はピンチの場面で、頭が真っ白になって言葉が出ない、なんてこともありましたが、今は上に揚げたような工夫により、クビにならずになんとか生き残っています。

それでも、やっぱり仕事でビビる場面に遭遇するたびに、「こういうストレスから開放されたら、どれほどすばらしいことだろう」と思います。逃げずにおられるのは、「給料をもらっているのだから仕方がない」というあきらめからです。

おそらく、これは、私だけでなく、仕事を持つほとんどの方にとって同じことでしょう。

そんな中、矢沢永吉さんが登場されたNHKのSONGSという番組を、ボーッとながめていたら、矢沢さんが山田孝之さんとの対談で面白いことを述べておられました。
矢沢永吉 山田孝之

「怖いとか、嫌だよとか、ドキドキだとか、そういうものをまだ現役で持てているというのは、僕は目茶ラッキーだと思う」

そうなんです。自分の会社人生も後半戦。会社を辞めた後、引退生活に入ってしてしまったら、仕事でビビる場面ってもう起こらないんですよね。いや、現役であっても、今後、窓際ポストに移動となれば同じことです。

引退後も、趣味の場面でビビることはあるかもしれません。例えば、音楽活動をしておられる方なら、人前での演奏会を前にビビることはあるでしょう。

しかし、それはあくまでも趣味の世界。そこで大失敗したところで、生活が脅かされるわけではありません。プロとして失敗が許されない場面に立ち向かうのとは、全く別の話です。

そう思ったとき、矢沢さんの言葉が胸に刺さりました。

もちろん、東京ドームで5万人の観衆を前にして震える矢沢さんのプレッシャーに比べれば、私のそれなんてお話にならないものです。
東京ドーム 矢沢永吉

しかし、大切なのは、プレッシャーの大小ではありません。

仕事でビビる経験を持てるっていうのは、それが取締役であろうが、ヒラ社員であろうが、ラッキーなことなんですよね。そうした視点で仕事というものを見つめてみると、仕事ってありがたいものだなあ、と思えてきます。

次回、ビビる場面に遭遇したら、「いや~、俺はこんなシビれる場面に遭遇できて、ラッキーだなあ」 とつぶやいてみるつもりです。

++++++++++++++++++++
(追伸)
今回、ステッドラー社のレシーナという万年筆で書いてみました。
ステッドラー レシーナ

ポップなフォルム、ペン先はスチール、そのわりに値段は高め、ということで、あまり人気は無さそうです (笑)

たまたま、バーゲンで安くなっていたので、あまり考えもせず私は買ってしまいました。これが意外に使いやすくて気に入っています。

インクのフローは極めて良好。ペン先はどことなくラミーのサファリと似た筆記感ですけれど、このペンの大きな特徴はペン先に重心が偏っていること。この特性は私に合っているのか、ペン先をコントロールしやすく感じます。
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