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豆乳タンタン麺にチャレンジ

豆乳タンタン麺

上海出張の朝食シリーズ、これが最終日に食べたものです。

アジアのホテルの朝食ブッフェでラーメンコーナーに行くと、お好みの麺(この日はビーフンを選択)と具材をコックさんが茹でてくれるサービスをよく目にします。

お客さんはこれに自分でスープと薬味をかけて食するわけですが、この日私は 「スープと熱い豆乳を半々でやってみよう」 と考えました。

この発想のヒントになったのは、豆乳鍋です。普通の昆布だしスープではなく、豆乳で肉や野菜を煮る鍋は、コクがでて大変美味しいものです。この鍋は、具材をポン酢で食べてもいいし、スープそのものに味噌味を付けて具材を煮ても美味しいです。そして、シメはこのスープを使って、うどんでもラーメンでも。

であるならば、豆乳ラーメンもありだな、と思いまして、トライした次第です。薬味のところに、タンタン麺のもとになる、ひき肉の辛味煮があったのでこれを載せ、ラー油をたっぷり注ぐことで、まさに「豆乳タンタン麺」になりました。香菜を薬味としてのせています。

このラーメン、我ながら、大変よくできた作品となりました。辛いスープに豆乳のほのかな甘味がベストマッチ。

朝食から 「何か美味しいものを創造できないか」 なんて貪欲に考えるヒマ人は、私くらいしかいないのでしょう。こんなものを食べている方は皆無でした。

けれども、せっかく多くの選択肢がある、ホテルの朝食ブッフェ。ありきたりのものではなく、クリエティブな組み合わせに挑んで、新たな味を発見したいものです。

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台湾式、豆乳サンラータン(酸辣湯)の朝食

豆乳酸辣湯

本格的な中華料理の店に行きますと、スープのメニューのところに酸辣湯(サンラータン)がよく載っていますね。

中国を含むアジアのホテルに泊まって、朝食ブッフェの豆乳コーナーが充実しているとき、私はよく酸辣湯風の豆乳を作ります。

この酸辣湯風の豆乳に出会ったのは台湾でした。

その日はなぜか朝早く、5時くらいに目覚めてしまいまして、ヒマだったからホテルの周囲を散歩したのです。そうしたら早朝にもかかわらず、人が一杯詰めかけている店がありまして、中を見たら豆乳専門店でした。

傍から観察していると、皆さん、次のスタイルで食べていました。

1) 熱い豆乳が運ばれてきたら、そこに黒酢(大匙1くらい)、ラー油(これも大匙1くらい)、胡麻油少々、醤油少々、ネギ(店によっては香菜も)を投入。

2) スプーンでひとまぜしますと、黒酢の作用で豆乳が少し凝固します。私はここで黒コショウをかけます。

3) 別に注文して運ばれてくる揚げパン(油條、といいます)を手でちぎって、豆乳に浸します。

4) スプーンですくって食します。

どんな味になるか、想像もつきませんでしたが、面白そうなので食べてみようと思い、チャレンジしてみたところ、このミステリアスな味にハマってしまいました。

揚げパンの油條は、日本の場合、パン屋さんで砂糖をまぶしたものがよく売られていますが、台湾式豆乳に添えられるのは砂糖の付いていないものです。

日本でこれと同じものを入手するのは難しい。そこで私の場合、クロワッサンをちぎって入れると、油條に似た味覚と食感になることを発見し、時々そのようにして楽しんでいます。もちろん、クロワッサンなんか入れずに、そのままスープとして飲んでも美味です。

朝から身体も温まり、酢の作用で身体もシャキッとしまして、なおかつ大豆たんぱく質も採れますから、理想的な朝食だと思います。

酸辣湯が好きな方なら、この味、きっと気にっていただけると思います。ぜひお試しください。

私の創作料理  ヨーグルト・ベネディクト

ヨーグルト・ベネディクト

上海に出張してきました。

前日の夕食が重い中華料理だったので、朝食のブッフェでは、ヨーグルト・ベネディクト (と私が勝手に呼んでいます) を作りました。

レシピはこんなかんじです。

1) まず、卵コーナーに行き、ポーチドエッグをオーダー。

2) その間にヨーグルトのコーナーに行き、プレーン・ヨーグルトをお皿にひとすくいします。

3) できあがったポーチドエッグをヨーグルトの上に乗せます。

4) オリーブオイルを上から注ぎます。今回はバルサミコ酢もかけましたが、これはお好みで。

5) 朝食のブッフェではあまり無いですけれど、もしあれば、パルメザンチーズのすりおろしをかけるとよく合います。

6) 机に腰をおろし、塩(できれば粗塩)とブラックペパーをひいて、完成!


卵を割ると、中から黄身がでてきて、ヨーグルトと交じり、色合いも美しくなります。

ひんやりしたヨーグルトの酸味と、少し温かい卵のミックスの「冷や熱」感覚で、疲れた胃にもやさしい味わいとなります。

日本の場合、ヨーグルトはデザートのグループという認識になりますが、東欧からインドにかけては塩味のサラダ感覚でよく食べられています。

このヨーグルト・ベネディクトは、「ヨーグルト=デザート」という発想から頭を切り替えて楽しんでみてくださいね。

さて、今回、初めて知りましたが、中国では、FC2ブログにアクセスできませんでした。このため、ブログを全然、更新できず。中国でGoogleやFacebookを使えないことは知っていたものの、FC2ブログまで統制されているとは、、、恐れ入りました。

ウォーホルの偉大さに気づいた日

ウォーホルと千住 博

モンテグラッパ    : ピッコラ (F)
ファーバーカステル : ストーングレー

千住 博 : 芸術とは何か

質問 - もっとも尊敬する西洋画家は誰ですか

回答 - アンディ・ウォーホルは、おもしろい人生の人だったと思います。(略)私は、作品も大好きですし、身につけた靴や服の趣味も良いし、私としてはかなり高得点をつけたいと考えています。
毀誉褒貶の多い人ですが、絵を観る限り、まじめで正直で、センスも抜群。才能は相当あり、そのうえ、このダンボールに大切に取ってある手紙などからも温かみを感じるわけですから、意外かもしれませんが、私はウォーホルなら尊敬に値すると感じています。
====================

トップアーティスト、千住 博さんが、「尊敬する画家」について述べたのが上述の箇所です。「尊敬する画家」、ですから、ダヴィンチだろうがベラスケスだろうがピカソだろうが、誰を選んでもいいわけです。そんな中、千住さんが選ばれたのは、なんとアンディ・ウォーホル !  このチョイスは驚きました。

正統派アートの第一人者が「尊敬する」とまで褒め称えるウォーホルですけれども、恥ずかしながら、私はその良さを全然、理解できずにいました。

アンディ・ウォーホルについては、高校生の頃からその存在を知っていたのです。どうして知っていたかと考えると、それはおそらく彼が日本のコマーシャルに登場していたからではないかと思います。

ウォーホルが亡くなったのは1987年。私が浪人生の時でした。「えっ、あの変なオジサン、死んじゃったの?」と驚いたことを覚えています。アートに何の興味も無かった私がその死亡ニュースに反応したくらいですから、今考えても、知名度はかなり高かったのでしょう。

その後、私は少しづつ、アートの世界に興味を持つようになり、ウォーホルの作品も知るようになりましたが、「なんでこんな作品が高く評価されるのかな?」 という疑問が晴れることはありませんでした。

それが昨年、ある美術館で、ウォーホルのシルクスクリーンによる人物画を目にしたときです。「なんてカッコいいんだ!」 と、ついに目覚める時が来たのです!

それは、よく目にする、マリリンとかエルビスなどという有名人ではなく、名前も知らないオジサンを題材にした作品でした。きっとどこかの大富豪とか作家とかだと思います。「ウォーホルが手がけたら、ただのオジサンの絵が光り輝いて見える」 この発見は驚きでした。

一見、滅茶苦茶に見える色使い、線をズラして色を塗っていくことにより生じる混乱。普通の人が作れば醜い作品になってしまうところ、ウォーホル独特のセンスでまとめると、それがカッコイ作品に変貌してしまう。いや~不思議だなあ、と思いました。こんな絵なら、家に飾ってみたい、という気になりました。

ただ、ウォーホルの偉大さに気づいた、といってもまだ人物画だけです。キャンベルスープ缶の絵も、ニューヨーク近代美術館で観たはずなんですけれど、何も記憶に残っていません。。。
キャンベルスープ ウォーホル


けど、キャンベルスープ缶を今理解できないからとって、焦らなくてもいいや、と私は思っています。

ちょうど子供の頃、ピーマンやナスやセロリが嫌いだっただけれど、年齢とともにその美味しさがわかってくるように、アートも自分の心の成長とともに、楽しみの幅を広げてゆけるはず。

「いつか、キャンベルスープ缶の絵に感動する自分に出合ってみたい」という気持ちさえ持っていれば、アートの神様は自分に微笑んでくれるでしょう。大切なのは「ウォーホルなんてわからん!」なんて、扉を閉ざさないことですね。

開高 健とシングルモルト

開高 健  シングルモルト
LAMY    : サファリ (M)
パイロット : 色彩雫 (竹林)

開高 健 : 知的な痴的な教養講座
第18章 シングルモルト・ウイスキー

スコッチとコニャックはうんざりするくらい飲んだので、十年前からほとんど口にしなくなっていた。卒業した、ワカッタと思っていた。
ところが、この夏、スコットランドでマッカランというシングル・モルトを出され、
「これ、飲んでみ」
といわれて飲み、興奮してしまった。
ストレートなのにブレンドのような味がする。極めて巧妙なバランスがとれている。そして、自然である。香りがまろやかである。舌ざわりは、まるでワインのようである。まことに日本人好みがするといえばそれまでかもしれないが、すくなくとも、酒と女でちびたわたしの丸い鼻にはピタッときた。わたしは興奮したナ。
====================

開高 健さんの作品が最初に世に知られたのは、1950年代、サントリー宣伝部で勤務していた頃に出したトリスウイスキーの宣伝コピーです。

++++++++++++++++++++
「人間」らしくやりたいナ
トリスを飲んで「人間」らしくやりたいナ
「人間」なんだからナ
++++++++++++++++++++

これは私の生まれる前の話なので、私が当時のことを知る由もないのですが、なぜか子供の頃の記憶に残っているのです。あまりに大ヒットしたコピー故、1970年代になっても、町のどこかに宣伝のポスターとかが残っていたのかもしれません。

ネットで検索したら、開高さんが残したこのコピーの色紙がありました。この文豪の文字はなかなか興味深いものがあります。
開高 健  トリスウイスキー

さて、酒好きの開高さんはいろいろな酒を嗜まれましたが、なかでもウイスキーを一番飲まれたのではないでしょうか。

その開高さんが、マッカランを初めて飲んで「興奮してしまった」と述べておられます。

「あれだけウイスキー好きの開高さんが、マッカランを飲んだことが無かったの?」 と私は逆にびっくりしてしまいました。しかし、インターネットの無い1980年代、シングルモルトは一部のマニアを除き、一般には誰も知らない世界のモノだったのでしょう。

開高さんは1989年に59歳で急死されますが、上記の文はおそらく死の1~2年前に書かれたものです。

ということは、開高さんはマッカラン以外のシングルモルトを知らずして、あの世へ旅立たれてしまったのでしょうか? 私は気になって少し調べて見ました。

すると、どうやらボウモアは飲まれたようです。しかし、私の好きな、強烈な個性を放つ ”ラガブーリン” は、結局、飲む機会は無かったようなのです。

それでは、「もし、開高さんがラガブーリンを生前飲んでおられたら、究極のシングルモルトとして開高さんが選ぶのは、”マッカラン” か ”ラガブーリン” か?」 と考えてみたいと思います

この二種を比べると、まろやかで芳醇なマッカランが女性的というならば、荒削りで個性丸出しのラガブーリンは男性的です。

それを飲むのに相応しいロケーションを考えると、マッカランはイギリス風邸宅の暖炉の前でじっくり楽しむイメージ。これに対して、ラガブーリンは山でキャンプして焚き火の前でワイルドに楽しむイメージ。

ベトナムの戦場で九死に一生を得、世界各地で魚釣りをして楽しんだ開高さんの豪放磊落なイメージからすると、私はマッカランよりもラガブーリンが合うと思っていました。

しかし実際にはどうなのでしょう? 外見から受けるイメージとのギャップが激しい、上述の文豪のかわいらしい文字をみると、開高さんはマッカラン派だったかもしれないなあ、とも思うのです。

人の風貌なんかよりも、書き残した文字やウィスキーの好みなんていうところに、一貫したその人のこだわりが現れるような気がしてなりません。

草間彌生の作品は子供の絵か

千住 博   作品にかける時間
パイロット : カスタム ストライプ (F)
エルバン  : モクセイソウグリーン

千住 博 : 芸術とは何か

物理的に1枚の作品を描く時間は、畳1畳分で一週間かかるか、かからないかです。(中略)
私は今56歳ですが、最近描き終わった、新しい青地の滝の作品を描くのに56年かかった、ということが正しい言い方でしょう。

====================

今年のお正月、NHKで「草間彌生 わたしの富士山~浮世絵版画への挑戦~」という番組が放映されました。
草間彌生 富士山

これは、草間彌生さんが富士山をテーマにした絵を描いた後、アダチ版画研究所のサポートのもと、江戸時代からの伝統を生かした浮世絵版画の作品にするまでを描いたドキュメンタリーです。

浮世絵版画の職人さんたちが、苦労しながら草間さんの作品を版画にしていく様は、大変興味深いものがありました。

しかし、私にとって面白かったのは、この番組を横でチラチラ見ていた父のコメントでした。

「草間彌生の絵なんて、子供の絵と同じじゃないか。あっという間に書いたものが何千万円もするなんて馬鹿げている」

私自身、草間彌生さんのファンではありませんが、直感的に「その考え方は間違っているのではないか」と思いました。しかしその場では、間違っている理由を明確に伝えることはできなかったのです。

われわれが現代アート作品に対して「なんでこんな高いんだ?」と疑問を持つ理由は何なのか?

父の言葉を思い起こすうちに、答えがみえてきました。

現代アートは、作品の製作に費やす時間が少ないケースが多いため、「製作にかける時間が少ない = 価格も低いはず」 と考えがちなのがその理由ではないでしょうか。ということは、「名画は、その製作に多くの時間がかけられるべきである」 というのが、一般的な認識ということになります。

これは、マルクスの労働価値説に近い考え方といえるでしょう。絵画に限らず、我々がモノの価値を考えるとき、「これができるまで、どれだけ手間がかけられたのか」 という考え方をしてしまうのは、ごく自然な流れだと思います。

しかし、現代社会におけるモノの価値は、労働価値説と全く関係のないものになっています。

この謎を考えるにあたって、骨董品の価値というものはひとつのヒントになるかもしれません。

古山浩一さんの 「万年筆の達人」 に次の記述がありました。
古山浩一さん 万年筆の達人

===================
ヴィンテージには現代のものが失ってしまった何かが存在している。以前、益子の古道具屋でボロボロの懸硯(かけすずり)を買った。あんまり状態がひどいので 「これもう少し安くならないの」 と店のいかにも海千山千のお婆さんに言った。そしたらじろりと一瞥して 「あんたあね、これはそのものだけじゃない、その時代が付いとるんじゃ、あんたあ、その時代も買ってるんじゃ!」 と言って煙に巻かれてしまった。しかしその言葉はいい言葉だなと思って、今でも記憶している。
===================

そう、我々は「モノ」そのものだけでなく、「モノに伴う時間」 も買うことがあるんですね。

そのように考えれば、上述の 「私は今56歳ですが、最近描き終わった、新しい青地の滝の作品を描くのに56年かかった、ということが正しい言い方でしょう」 という千住 博さんの言葉も理解できます。

「モノに伴う時間」 は目に見えません。それゆえ、鑑賞者側の眼力が問われていると言えます。草間さんの作品が高額であっても売れるのは、「草間さんのこの作品が生み出されるまでにかけられた時間」 を見える人が多いということが、要因のひとつかもしれません。

現代アートのひとつの作品を前にして、「その画家のヒストリーを感じ取れるか否か」 という観点から眺めてみれば、また新たな発見があるかもしれませんね。

処女と熟女とワインの関係

開高 健  処女と熟女とワインと
モンブラン320 (EF)
モンブラン ― ミステリーブラック

開高 健 :  知的な痴的な教養講座
第31章 ワイン

デカンタージュが教えることは、なにか? それは、一本のワインには二人の女が入っているということなんだ。一人は、栓をあけたばかりのときの処女、もう一人は、それが熟女になった姿である。一本のワインで、処女と熟女のふたつが楽しめる。一人の人間でこれを楽しもうと思ったら、最低でも十年ぐらいの時間幅がいるけれども、ワインならこれが三十分ほどで味わえるんだ。そうすると、ワインは女よりいいということになるかナ。
ただし、人間の女とワインも違うところがある。ワインは栓をあけて処女を楽しむが、人間の処女は栓をして味わうという一点である。
====================

アルコール飲料を男性系と女性系に分けるとしたら、どうなるでしょう?

男性系は、ガツンと来る蒸留酒がピッタリきそうです。ウィスキー、焼酎、ウォッカ等。

女性系は、やさしさのある醸造酒。ワインや日本酒。ただし、醸造酒の中でも、ビールは、その持ち味である苦味のせいか、男性系ドリンクのイメージがありますね。

酒をこよなく愛した開高 健が、ワインについて語ったのが上記の文です。デキャンタージュによるワインの変化を、処女と熟女になぞらえるという、この鋭い感性。 「そうすると、ワインは女よりいいということになるかナ」 なんて箇所、思わず笑ってしまいました。

さて、この文章に辿り着くまで、文豪の思考回路はどう動いたのか推測してみたいと思います。

1) ワインについて一文を書いてみよう。
2) ワインの対局に位置する飲み物は何だろうか? コニャックか? 醸造酒 VS 蒸留酒という視点で考えればそうだけれど、コニャックよりもウィスキーの方が、なんとなく対局に位置するように感じるな。
3) ウィスキーがワインの対局にあると感じた理由は何だろうか? 女性的なワインに対して、男性的なウィスキーという感覚か。
4) そうすると、ワインを女性になぞらえて文を書いたらおもしろいかもしれない。
5) ワインの特徴は何だろう? デキャンタージュか! 
6) デカンタージュの味の変化を女性と結びつけて考えたらどうなるか? 処女と熟女か!これで文が書けるな。

開高さんのこのコラムが、私の推測した経緯で生まれた確率はゼロに等しいでしょう。しかし、今回のように、自分が感銘を受けたクリエティブな仕事や作品に触れたとき、「この人はどうやって、この作品を創ったのか?」と考えてみることは、決してムダなことではないと思うのです。自分がクリエティブな仕事をしようと思うのなら、こうした思考のシャドーボクシングを繰り返すことが基礎になると思うんですよね。

余談になりますが、開高さんはデキャンタの代わりに、尿瓶を使ってデキャンタージュしていたそうです。たしかに、新品の尿瓶を使えば、デキャンタそのものです。

友人を自宅に招いて、こんなイタズラやってみたいものです。

友人 「このデキャンタ、面白いフォームをしているね?」
私  「ああ、これね。実は尿瓶なんだ。新品を使っているけれど」

友人の奥さんは、二度と私に口をきいてくれないでしょうね。

開高 健は ”しょっぱい” という言葉を選んだ

開高 健  しょっぱい
パイロット : カスタム743
パイロット : 紫式部

開高 健 : 知的な痴的な教養講座
第一章 : 小さな死

人間の血液がしょっぱい。汗はもちろん、精液もちょっとしょっぱい。小便もしょっぱい。女の愛液もはんなりとしょっぱいんだ。これは、人間が海から上がってきた証拠じゃないのかな。人間の中には海があるんだ。海が生きているんだ。人間われら、みな海の子なのである。

====================
文豪、開高 健。1989年、59歳の若さで亡くなります。

開高さんの文章は、何か深いものがありますね。「言葉を越えた言葉」 のような。。。

「知的な痴的な教養講座」 という本を読み返していたとき、上述の箇所で私は「あれっ」と驚きました。

開高さんは大阪出身です。関西の方は、塩分の濃い食べものに対して、”からい” もしくは ”塩からい” と言いますよね。私は関東なので、”しょっぱい” という言葉の方に馴染みが深いです。

大阪出身の開高さんですから、”しょっぱい” という関東の言葉が自然に出てくることはないはずです。

ましてや、一語一語、綿密に思考をめぐらせて、厳密に言葉を選び抜いた開高さんですから、”しょっぱい” と記された背景に、何か明確な理由があったはずです。

例えば上述の文には ”はんなり” という京言葉が使われていますが、これは ”はんなり” がピッタリであり、それ以外の言葉では代用がきかないですね。同様に開高さんは、「ここは ”しょつぱい” 以外に無い」 と考えられたのでしょう。

では、仮に上述の文章の ”しょっぱい” を ”塩からい” にしたらどうなるのでしょうか?

====================
人間の血液が塩からい。汗はもちろん、精液もちょっと塩からい。小便も塩からい。女の愛液もはんなりと塩からいんだ。
====================

なんだか”塩”という字が目だってしまい、文の美しさが減じてしまうように思えます。

では ”塩からい” ではなくて ”からい” だったらどうなのか? ”からい” の場合、関東の読者には ”辛い” と混同する人もいるでしょう。

そのような理由から、関西人の開高さんは、あえて ”しょっぱい” を選んだのかもしれません。

しかしなにより、

”はんなりと塩からい”
”はんなりとからい”
”はんなりとしょっぱい”

この三つを比べてみると、”はんなり” という柔らかな単語には、”しょっぱい” というこれまた柔らかな表現の方が合うように思います。開高さんが ”しょっぱい” を選んだ最大の理由はそこにあったのかもしれません。

”真善美” ではなく ”正善美” で考える

真善美ではなく正善美で考える
パイロット : カスタムヘリテイジ912 (フォルカン)
パイロット : 色彩雫 (コスモス)

塩野七生 : ローマ人への20の質問

「美への愛の結晶は芸術、心理への愛の結晶は哲学。この面となるとローマ人は逆立ちしたってギリシア人にはかなわなかったのでした」

「美に真とくれば、善はどこに?」

「美も真も、極まれば、人間に対して善をもたらすこになるのでは?」

====================

われわれは、日々の生活において常に選択を続けています。禅寺の修行僧でもないかぎり、何時に起きるのか、朝食に何を食べるのか、こうしたことは全て個人が判断しています。その選択を続けた結果として、今の自分があるわけですね。

この「選択」をする際、人は何らかの価値観を基準にしています。

その基準を振り返ってみると、通常、「快か不快か」、「損か得か」 に至るケースが多いはずです。しかし、こうした人間の本能に近い部分だけで生きている人は、人格に問題があるように見えてしまいますね。

そこに気づいたギリシャ人は、哲学を極めてゆく中で、「真善美」という人間の理想とする価値に辿りつきます。

・真か偽か
・善か悪か
・美か醜か

これらを選択の基準にする人は

・快か不快か
・損か得か

を基準にする人よりも、「人間として格が高い」 という考え方です。

これは心理学でよく出てくる 「マズローの欲求5段階説」 にも似ていますね。

さて、こうした理論はさておき、実際に私自身、仕事またはプライベートにおける判断で悩むとき、モノサシになるような基準が必要だと感じるようになりました。

そのように考えると、「真善美」は、判断に悩むとき 「これは真善美に適っているのか」 と振り返りやすいので、便利な言葉です。

しかし、よくよく考えてみると、

・善か悪か
・美か醜か

この二つは、日常の判断時にイメージしやすいのですが、

・真か偽か

という基準は、日常であまり出てきませんよね。

「真か偽りか」 という基準を日常で必要とするのは、裁判官とか骨董の鑑定士など、ごく限られた職業の方ではないでしょうか。これでは、その他一般人は「真」の価値観を日常生活で生かせません。

私は何か腑に落ちないものを感じ、真善美の英語訳を調べてみました。すると、

真 = truth
善 = goodness
美 = beauty

だということがわかりました。

真はtruth、形容詞はtrueです。trueの反意語として一般的に良く使われるのはfalseです。よく英語で書かれた質問状で「T / F」というチェック欄を見たりしますが、これは「true or false」の意味です。日本語に訳せば「正・誤」。

このように考えると、truthの訳は「真」ではなくて「正」という訳でも良かったはずです。ではなぜ「真」が選ばれたのでしょう?これは、反意語が影響していたのではないかと私は考えます。

「真」の反意語は「偽」で決まります。

一方で「正」の場合は反意語がいろいろあるんですよね。

・正か誤か
・正か副か
・正か負か
・正か邪か

このように、反意語が多いということは、「正」の文字の意味する範囲は、「真」よりも広いということを意味します。明治時代か江戸時代か知りませんが、「真善美」を最初に訳した方は「正」と訳すとギリシア哲学の本筋から離れて解釈される可能性もあると考え、「真」という字を選んだのではないでしょうか。

「真善美」という訳は適訳です。しかし、「真」は日常生活では使いづらい。そこで私は「正善美」という言葉で考えるようにしています。

・正か誤か
・善か悪か
・美か醜か

日常における選択のほとんどは、この基準で判断できるはずです。これを続ければ私の人格も磨かれるはず。。。なんですけれど、実際には煩悩が先走り、

・快か不快か
・損か得か

に戻ってしまいますね。

おじさん度のテスト

おじさん通信簿
ペリカン - M800 (F)
ペリカン - ロイヤルブルー

秋元 康 : おじさん通信簿

気づいたら、”おじさん”になっていた。
僕は、いつ、”おじさん”になってしまったのだろう?
十七歳で放送作家としてデビューし、若い頃から、社会に出ていたので、同世代の青年より老けていたと思う。
さらに、学生時代から二十キロも増えていた体重は、僕から若さを一層、奪っていたかもしれない。
二十代後半のある日、当時、住んでいたマンションの駐車場で、キャッチボールをしていた子供のボールが転がって来た時に言われた。
「おじさん、ボール取って!」
今、思えば、あれが、”おじさん”と呼ばれた最初ではなかったか?
====================

自分が”おじさん”だけに、秋元 康さんの「おじさん通信簿」という本には、腹を抱えて笑わされてしまいました。

秋元さん同様、私も自分が初めて「おじさん!」と呼ばれた日を覚えています。二十代後半、小学校の運動会の手伝いにかりだされました。何かの瞬間に、小学5年生くらいの男の子から「おじさん、○○してくれる?」と声をかけられたのです。「えっ、”おじさん”ってオレのこと?」とショックを受けました。

自分の経験から、男性でも「おじさん」と呼ばれてショックを受けるわけですから、女性の場合は「おばさん」と呼ばれたら倒れてしまうくらいのショックなのでしょうね。

さて、秋元さんは、次の質問に答える形でおじさん度をチェックしてみてほしい、と述べておられます。

++++++++++++++++++++

1)最近、自分から言い出して、焼肉屋に行かなくなった。
2)若い女性と話すとき、なんとなく、「お父さん、歳いくつ?」と聞いてしまう。
3)NHKを観ることが多くなった。
4)朝早く、目が覚める。
5)パソコンはメールだけできればいいと開き直った。
6)同窓会など、昔の仲間に会うことが楽しくなった。
7)ドキュメンタリーを見ていても涙が出てしまうほど、涙脆くなった。
8)以前より、洋服を買わなくなった。
9)時代小説を読むようになった。
10)下着は、ブリーフ型よりトランクス型の方が楽だ。
11)γ―GTPを知っている。
12)独り言が多くなった。
13)”メル・ギブソン”の名前が思い出せなかったことがある。
14)ズボンのことを”パンツ”と呼ぶことに抵抗がある。
15)趣味を持とうと思い、陶芸とかを始めるが、どれも長続きしない。
16)”ウコン”を飲んだことがある。
17)ハワイより京都に行きたくなった。
18)駄洒落を言いたくなるときがある。
19)妻と言い争う気力がない。
20)後頭部に汗をかく。

二十のチェックのうち、半数にYESと答えた人は、間違いなく ”おじさん” である。

++++++++++++++++++++

私の回答は次のとおりです。

1)最近、自分から言い出して、焼肉屋に行かなくなった。
回答:NO。焼肉は苦手ですが、ステーキやしゃぶしゃぶは好きで、よく食べます。

2)若い女性と話すとき、なんとなく、「お父さん、歳いくつ?」と聞いてしまう。
回答:NO。聞かないですけれど、会話の流れで、お父さんと自分の年齢が近いことを知るとき、愕然とします。

3)NHKを観ることが多くなった。
回答:YES。民放で観たくなる番組は限られます。

4)朝早く、目が覚める。
回答:YES。

5)パソコンはメールだけできればいいと開き直った。
回答:実質YES。パソコンは多目的に利用しますけれど、スマホのメールの打ち方すら知らないので。

6)同窓会など、昔の仲間に会うことが楽しくなった。
回答:YES。

7)ドキュメンタリーを見ていても涙が出てしまうほど、涙脆くなった。
回答:YES。

8)以前より、洋服を買わなくなった。
回答:YES。洋服にお金を使わなくなった分、万年筆に、、、

9)時代小説を読むようになった。
回答:YES。昔は”おじさん”が、司馬遼太郎や池波正太郎を読んでいるのをみて「オッサンだなあ」と思っていたのですが、今や面白くてたまらなくなってしまいました。

10)下着は、ブリーフ型よりトランクス型の方が楽だ。
回答:YES。これは中学生の頃から変わりません。

11)γ―GTPを知っている。
回答:YES。血糖値は上限ギリギリですけれど、幸い、γ―GTPは、まだ全然問題ありません。

12)独り言が多くなった。
回答:これは、たぶんNOです。

13)”メル・ギブソン”の名前が思い出せなかったことがある。
回答:YES。いずれにせよ、名前は出てこなくなりましたね。メル・ギブソン、今の若い世代は知ってるのでしょうか? B級映画の傑作、「マッドマックス」は、自分の娘が大人になったら、ぜひ観てほしいです。

14)ズボンのことを”パンツ”と呼ぶことに抵抗がある。
回答:YES。

15)趣味を持とうと思い、陶芸とかを始めるが、どれも長続きしない。
回答:NO。おかげさまでブログもなんとか続いています。

16)”ウコン”を飲んだことがある。
回答:YES。”ノミカタ”にもお世話になっています。

17)ハワイより京都に行きたくなった。
回答:YES。

18)駄洒落を言いたくなるときがある。
回答:NO。

19)妻と言い争う気力がない。
回答:YES。

20)後頭部に汗をかく。
回答:YES。私の場合、後頭部ではなくて額の方ですが。


私の場合、YESが15。完全な”おじさん”ですね。

男性はだれもが ”おじさん” になります。しかし、何も悲観することはありません。秋元さんの次の言葉に私は深い共感を覚えます。

====================
”おじさん”は”おじさん”で、なかなか、いいものである。
季節が変わるごとに、山の色合いも移ろうように、”おじさん”になって見える世の中の景色も味わい深いものがある。
大切なことは、今、見える景色を慈しむことだ。
”おじさん”の時代を楽しむことができる者は、歳をとることが楽しくなる。
次の”おじいさん”と呼ばれて見える景色は、どんなものだろうかと....。
====================

「今、見える景色を慈しむ」。 いい言葉ですねえ。
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