左手にロレックス、右手に100円ボールペン

池波正太郎 男の作法

Pen : Pelikan - M800 Rollerball
Ink : Broad, Blue

万年筆とかボールペンとかサインペン、そういうものは若い人でも高級なものを持ったほうが、そりゃ立派に見えるね。万年筆だけは、いくら高級なものを持っていてもいい。つまり、いかに服装は質素にしていても万年筆だけは、たとえばモンブランのいいものを持っているということはね。

池波正太郎 : 男の作法
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2016年、最初に読んだ本は池波正太郎の 「男の作法」 でした。この本は、10年ほど前に読んだのですが、手にとってパラパラと眺めてみたらすっかり中身を忘れていることに気付いたので再読することにしたのです。

万年筆について語られている上記の箇所は、最初に読んだときにはおそらく読み流していたはずです。しかし、潜在意識に刻み込まれていたのでしょうか。近年、私はペン収集が趣味になってしまいました。

池波さんがこの本を出されたのは1981年。当時は万年筆が衰退し始めていたとはいえ、ビジネスマンでも万年筆を仕事で使う方がおられたはずです。

しかし、その後はボールペン全盛の時代になり、現在、ビジネスマンで万年筆を使う方はほとんど見かけません。

私の場合、オフィスに万年筆は置いてあるものの (*インクが乾いてしまうリスクの無いプラチナのセンチュリー3776シリーズです)、基本的にはボールペン (主に水性) を使っています。

ボールペンのメリットである、インク漏れのリスクが無いこと、突然のインク切れのリスクが少ないこと、速記してもインクフローが安定していること、といったことを考えると、ビジネスの現場では万年筆よりボールペンの方が実用面で勝るというのが私の結論です。

そんなわけで、池波さんの上述の言葉を現代風に置き換えるなら、「ボールペンだけは、いくら高級なものを持っていてもいい。つまり、いかに服装は質素にしていてもボールペンだけは、、、」 ということになりましょう。

池波さんはペンに関し、「男の作法」 で次の言葉も遺されています。

「男が (*ペンを) 外へ出て持っている場合は、それは男の武器だからねえ。刀のようなものだからねえ、ことにビジネスマンだったとしたらね。だから、それに金をはり込むということは一番立派なことだよね。貧乏侍でいても腰の大小はできるだけいいものを差しているということと同じですよ」

この箇所を目にしたとき、昨年末の出来事を思い出しました。

ミーティングでお会いした、某大手企業の重役のことです。

その方は、一目でそれとわかる、ブルックス・ブラザーズのブレザーとシャツとネクタイを着ておられました。
Brooks Brothers

持たれているブリーフ・ケースはTUMIの定番26108。
TUMI 26108

左腕にはゴールド・カラーのフルーテッドベゼルが眩しい、ロレックスのデイトジャスト。
Rolex DATEJUST

ビジネスマンに人気の高いブランドが勢ぞろい、というかんじですね。

そんな方がミーティングの席において、TUMIのブリーフ・ケースから取り出したペンは、、、プラスチックの100円ボールペン (2色) でした !
2色ボールペン

私のようなマニアは別にして、ビジネスマンの場合、必ずしも高級ペンを持つ必要は無いと思うのです。数千円、いやわずか千円も出せば、ピカピカのロレックスと一緒に目に入っても違和感のないペンはいくらでもあるのですから、普通はそれで充分です。

時計に何十万円もかける方が、なぜ100円ボールペンなのか。

私の価値観は池波さんのそれに近いので、高級ペンを持つ方が量販店のスーツを着ていても全然違和感はありません。しかし、たとえ身をブランド品で固めていたとしても、手にするペンが安価なものであると、その方の品位を台無しにしてしまうことがわかりました。実にもったいないことです。

その一方でふと思ったのです。自分も同様に、何か一点の隙によって 「この人、ダメなんだろうなあ」 と人様に思われていることがあるのではないかと。

「俺は人からどう見られようと、そんなことは気にしないよ。自分は自分だ」 という考え方もあるかもしれません。

しかし、ビジネスの世界においては、人とのつながり無くして仕事は成り立ちません。そう考えると、見栄や虚栄心といった次元から超越したところにおいて、「自分は人様からどう見られているのか」 という意識を持つことは、多くのビジネスマンにとって、美しい仕事を目指すうえでとても大切なことではないかと思うのです。

「常に他人様に見られている」 ということを意識を忘れずに、2016年も美しい仕事を目指してゆきたいです。

大谷選手に贈る万年筆を考える

大谷選手と万年筆

Pen : Pilot - Custom Heritage 92 (M)
Ink : Pilot - Murasaki Shikibu

~ 大谷 中田から「今季15勝」のご褒美、高級万年筆リクエスト ~

日本ハム・大谷が「書」で飛躍する。千葉・鎌ヶ谷での秋季練習後、大谷は主砲・中田とシーズン前に約束した 「今季15勝」 を達成し、ご褒美として 「高級万年筆」 をもらうことを明かした。すでに中田にはリクエスト済みで 「書くことが減っている。きちんとしたものがあれば、そういう気持ちになれる」 と心待ちにした。

岩手・花巻東時代。毎日の練習後に反省や目標を記す 「練習日誌」 が課されたことで、大谷にとって書くことは習慣の一つになった。目標をより明確にし、実現性を高めることが狙いだ。大谷はプロ入り後も日記をつけ、趣味の読書では、大事な箇所を手帳にメモして「二度読み」する。小説や自己啓発本などジャンルはさまざまあで 「無駄なところを省きたい。2回読んでやっとわかることがある」。読んで、書いて、読む。そうして自分の成長の糧にしているのだ。

2015年10月22日 スポニチ アネックス
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イチローは日本人として初めて、メジャーリーグで殿堂入りすることでしょう。では、彼に続く日本人は誰なのか?

私は上のエピソードを知り、日本ハムの大谷選手ではないかと考えるようになりました。

彼はまだ21歳。その若にして、「きちんとした高級万年筆があれば、文を書く気になれる」 と言ってのけるのは、あっぱれという他ありません。この一言で、彼の頭脳は成熟した40歳のレベルとうことがわかります。

メジャーリーグの頂点を目指す若者は世界中で数多くいますけれども、大谷選手ほどの肉体と頭脳を持つ人は存在しないはずです。将来、メジャーで大活躍する大谷選手が目に浮かんできますね。

ところで、、、上述の報道によれば、中田選手が、大谷選手に万年筆を贈るとのこと。

はたして中田選手は、どの万年筆を選ぶのでしょうか?

自分が中田選手だったとしたら、まず次のように考えます。

1) 万年筆の匠の技を感じてもらえるペン
2) 万年筆の美しさを感じてもらえるペン
3) 「書く」という行為に喜びを感じてもらえるようなペン
4) 大谷の身長は193cm。当然、手も大きいので中型以上のサイズのペン

ここでは、各社の限定品は除いて、定番品でしぼっていきます。

まず、一番目の 「万年筆の匠の技を感じてもらえるペン」 というポイント。やはり、ピストンなどの吸引式ペンを選びたいです。インクを吸い取るあの楽しみを通じて、心が癒されることもあるでしょうし、小さな製品に込められた人間の叡智に感動する日もあるでしょう。

そうすると国産品で残るものはほとんどありません。

セーラーのプロフェッショナルギア・レアロ、
プロフェッショナルギア レアロ

パイロットのカスタム823
カスタム823

といった吸引式はありますけれど、「万年筆の美しさを感じてもらえるペン」 という点ではインパクトが薄いです。

では海外品ではどうか。

パーカーならデュオフォールド。パール&ブラックは見た目も豪華でカッコいい。
パーカー デュオフォールド

ウォータマンならエドソンでしょうか。サイズ、ルックス、ともに申し分無し。
エドソン

ただし残念ながら、両者ともに、吸引式ではありません。

そうすると、ペリカンやモンブランといったドイツ品が有力候補になってきます。

ペリカンなら大谷選手に合いそうな最大サイズはM1000になりますが、万年筆デビューの方に贈るということなら、M800が適切だと思います。柄は定番の緑縞でしょう。
M800

サイズ、筆記感、ルックス、どれも申し分なしです。けれども、「中田が大谷に贈る万年筆」 として、ペリカンM800は、あまりに無難すぎて面白さに欠けます。何かひとひねりほしいところ。

モンブランも同様に無難すぎますね。

そんなわけで、私だったらイタリア品を選びます。

まずはデルタならドルチェビータ ピストン・フィリングでしょうね。
ドルチェビータ ピストンフィリング

そしてもうひとつ、アウロラのオプティマも捨てがたい。カラーは迷うところですが、この一本、ということならブルー。
オプティマ

他のイタリア品は、機能に信頼がおけないので選べません。

結局、私のセンスではドルチェビータとオプティマの一騎打ちとなります。

この勝負、難しいところですが、私ならオプティマを選びます。

理由の第一は、ペン先の感触はどちらも良いのですが、私はオプティマの方が好みであること。表現しにくいですけれど、シャリシャリっとした、紙面をすべる感触が好きなんですね。「書く」 という行為に喜びを感じてもらえそうです。

もうひとつの理由は、オプティマ独特の 「リザーブ・タンク機能」 が面白いこと。これはインクが切れても、尻軸を回すと予備インクが出てくる、というものです。実際に吸引窓からこのリザーブタンクの様子がうかがえるのですが、とてもユニークです。このペンを設計された、職人の魂が感じられます。

勝手な妄想を続けて、オプティマ・ブルーを私は選んでしまいましたが、中田選手は何を選ぶのでしょうか。

なんだかモンブランになりそうな気がします。それも146の細字 (F) あたり。もしくは149の中字 (M) か。

モンブランはブランド力ではダントツですけれど、「美しさ」 と 「書く楽しさ」 という点では、劣るように思います。

今回、大谷選手がモンブランを受け取ったとしても、これをきっかけに、将来は国産含め、様々なペンに進んで、万年筆ワールドにハマってほしいものです。

M800 バーント・オレンジをポチッてしまいました

ペリカン バーントオレンジ 2


昨年8月、ペリカンの万年筆、M800 ブルー・オ・ブルー (下記写真) を悩んだ末に購入した顛末をお伝えしました。

M800 ブルー オ ブルー

「限定ものには惑わされない」、というポリシーの私ですが、万年筆に限っては、なかなか自分をコントロールできないのが悲しいところ。。。

そんな中、またまたペリカンが特別生産品で私を悩ませてくれました。

その名も 「スーベレーンM800、バーント・オレンジ」。“Burnt” なので、少し焦げた感じのオレンジです。

以前、「オレンジの誘惑」 という稿でお伝えしましたが、私、オレンジが大のお気に入りなんです。

「ペリカンのペンはすばらしいけれど、値段も高いので、もう手は出すまい」 と決意していたのですが、ペリカンのサイトの写真と文章をみて、私の決意は大地震でグラグラに揺らぐ高層ビルの状態になってしまいました。

ペリカン バーントオレンジ 1

(ペリカンのサイトからの引用) = 温かみのあるオレンジの色の胴軸は、ダークブラウンのキャップと尻軸によって完璧な色合いに仕上げられています。800バーントオレンジのボディは高級樹脂で作られ、その後磨きこまれています。 =

日本に来るのは限定1500本とのことで、悩みに悩んだ挙句、「ここで買っておかないと、一生後悔するかも。自分へのクリスマスプレゼントということもあるし」 と勝手に理由付けして (?)、ポチることを決断。

字幅は何にするか、これまた悩みましたが、M800では、すでにF(細字)は緑縞で、M(中字)はブルー・オ・ブルーで、BB(極太)は青縞で持っているため、B(太字)を決断。

それにしてもM800を4本も持ってしまうなんて、我ながら呆れます。

ちなみに、昨年購入したブルー・オ・ブルーは、まだ包装も開けていない状態で保存しています。

自分でも自分の心理がよくわからないのですが、「限定品を新品未開封の状態で持っている」 というのが、なんか嬉しいんですよね。これって、年代モノのワインをキープする人たちと同じ心境なのかもしれません。

今回のバーント・オレンジも、新品未開封のまま寝かすつもりです。熟成が進んで日の目を見るのは何年後でしょうか。。。

ピュアモルト三兄弟

三菱 ピュアモルト プレミア

ピュアモルト、と言ってもウイスキーの話ではありません。三菱鉛筆の筆記具です。

ピュアモルトのペンの軸はウイスキーの樽から作られており、この木の感触がとても心地良いのです。

私はこのオークウッド・プレミアム・エディションの3機能ペン (シャープペン、ボールペン2本、型番 MSE-3005) がお気に入りで、以前、レポートを掲載しました。

これに味をしめまして、同じピュアモルト・オークウッド・プレミアム・エディションのシリーズから、さらに2種類のペンを購入しました。

上の写真は左から右に次の順番で並んでいます。

左 : MSE-3005 ピュアモルト 3機能ペン

中 : SS-2005 (ボールペン)

右 : M5-2005 (シャープペン)

こうして並べてみると、3機能ペンのサイズの大きさがおわかりいただけると思います。

重量の差は次のようになっています。

・28g = 3機能ペン
・23g = ボールペン
・22g = シャープペン

ボールペンとシャープペンの重量差はわずか1gですけれど、手で持って比べるとこの差を感じます。人間の手って本当に敏感なんだなあ、と思います。

軸径の差は次のとおりです。

・12mm(最大)、10mm(口金部分)= 3機能ペン
・11m (最大)、 9mm(口金部分)= ボールペン・シャープ

3機能ペンは径で1mm太いだけですけれど、手に持つとこの差は大きく感じます。

ペンの長さは差があります。

・140mm = 3機能ペン
・132mm = ボールペン
・135mm = シャープペン

シャープペンとボールペンの差は、口金の長さの差ですね。

クリップは、3機能ペンだけが長く他の2種は同サイズです。

このピュアモルト・オークウッド・プレミアム・エディションには、他にも様々な商品がありますけれど、シンプルなデザインのこの3種が美しいと私は思います。

3機能ペンの使用感については、以前お伝えしたとおりですので、ここではボールペンとシャープペンについてお伝えします。

まずボールペンですけれど、長さ、太さ、重さはバランスのとれた良い設計だと思います。

ボールペンで唯一、残念なところは替芯です。このペンには「SJ-7」という0.7mm芯が標準装備されています。インクの出は悪くないのですが、同社のジェットストリームに比べると劣ります。クチコミで、同社の「パワータンク用替芯 SJP-7も使用可能」という情報を見て試してみましたが、やはりジェットストリームの滑らかさには及びません。

とは言いましても、あくまでもジェットストリームとの比較で劣るという話ですので、普段使う際には全然問題無いレベルです。

続きましてシャープペンです。これも文句無しのすばらしいペンです。とても書きやすいです。ただ、残念なのは0.5mm芯しか無いこと。これの0.7mmがあれば自分にとっては最高なんですけど。。。

そしてもうひとつ。はっきりしたことはわかりませんが、このシャープペン、製造中止になっている可能性があります。私はこれに備え、追加で一本を購入し、スペアとして保管しています。

さて、この3種のペン、軸の色に違があるのがおわかりでしょうか。実は、中央のボールペンだけ、「KOYO ポリマール プラスチック磨きクロス」で磨いてみたのです。
プラスチック 磨きクロス

10分ほどシコシコ磨いてみたのですが、ラッカーで塗装したみたいにツルツルの表面になりました。

これはこれで見た目に美しく良いかんじですが、手にした感触は磨いていない方が少しザラつきを感じ、私は好きです。このあたりは好みは人によると思います。

以上、ピュアモルト三兄弟のレポートでした。

画用紙でペントレイを作ってみました

自家製 ペントレイ 3

自分も含め、多くの人は年齢とともに、あらゆる欲がだんだん薄れていきますね。棺桶の中に持ち込めるのは身一つですから (以前、購入したゴッホやルノアールの作品を、「棺桶に入れる」 と言ったアホな日本人もいましたが)、それが健全な流れだと思います。

しかし、ここ2年ほど、「書く楽しみ」 に目覚めてしまった私の、ペンに対する物欲は留まるところを知らず、、、 収納する場所も満足にとれないままになっておりました。

せっかく買ったお気に入りのペン、眺めて楽しみたいので、文房具屋さんで高級ペンの陳列に使われるようなペントレイが欲しいと思いましたが、お値段も高い。 ただでさえ、ペンをポコポコ買って、妻や娘から冷たい視線を浴びているなか、ペントレイまで買うわけにもいかないため、画用紙で自作することにしました。

そして完成したのがこちらの作品です。
自家製 ペントレイ 1

自家製 ペントレイ 2

簡単なものですが、小学生の頃、図画工作の時間が苦手だった私はけっこう手こずりました。

この画用紙ペントレイにペンを並べてみたのが冒頭の写真です。

もともと、来客用のかわいいお皿を置いていたスペースなのですが、妻に睨まれながらも皿を強制撤去してペン置きに変更しました。

アップで見るとこんなかんじです。文具店のオーナーの気分になって、ひとりニヤニヤながめております。
自家製 ペントレイ 4

これだけペンを置くスペースがあっても、まだ置ききれないペンがたくさんありました。なんかもう、一生かけても使い倒せないくらいの数になっちゃいましたね。。。

それにしても、小学生の時以来、何十年ぶりかでトライした工作の作業は、良い経験になりました。

簡単な紙工作ですけれど、なかなか自分の思い通りのものができず、試行錯誤を積み重ねました。こうしてできあがったモノには、やはり、自分の 「想い」 がこもっていますよね。「モノ作り」 って楽しいんだなあ、と改めて理解することができました。

欧米の方と話していると、「別荘エリアに土地を買ったので、週末はそこに行き、コツコツと家を作っているんだ。小さなな家だけどね、だいぶ形ができてきたところだよ」 なんて方にちょくちょくお目にかかります。

これまでは、「家とは、大工さんが作ってくれるもの」 と思っていましたから、「え~、家を自分で作るの? そりゃ、ご苦労さんなことだねえ」 と言っていましたが、もしかすると、自分で自分の家を作るというのは、最高に楽しい道楽なのかもしれません。

小さな紙工作でしたが、実際にやってみて、そんなことを感じました。
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